「相棒」Season14 第2話「或る相棒の死」(脚本:真野勝成)
「相棒」初登場で神回「右京さんの友達」(Season12 第13話)を書き上げ、エース級脚本家へと躍進中の真野勝成(まのかつなり)さんが早くも登板したSeason14 第2話「或る相棒の死」をリアルタイムで見ました。
反町演じる新相棒「冠城亘」(かぶらぎわたる)が登場した第1話の直後ということで、どう展開していくか難しい回だったのではというのが見る前の予想でした。
「右京さんの友達」では紅茶ネタで神回にしちゃったので、制作サイドから「紅茶ネタはもう充分ですよね?」とやんわり言われたらしい真野さんが、「じゃあ冠城亘にコーヒーのうんちくを語らせよう」という立脚点だったのでしょう。しかも甲斐元次長(前相棒カイト君の父)がお抹茶というダメ押しまで(笑)
見ていて混乱するようなストーリーではなく、どんな世代の視聴者にもわかるようにあえてシンプルにした「真のプロ」とも言うべきプロットに、「メガネ」「万年筆」「暗号」「警察隠語」という小道具をうまくつかって、周到な装飾を加えた脚本はさすがの一言。
さらに、エピローグのたたみかけ方には感嘆のため息がでてしまった。
「1日のカフェインの摂取量」をネタに「上司におもねらない」という歴代相棒の「お約束」を出して「2人がこれから真の相棒になるかも?」と思わせる小粋な演出。
「キレモノ・冠城」というキャラの方向性を説得力のある脚本でまとめあげ、「この登場人物ならこういうセリフを言いそうだ」と思える強いセリフも秀逸でした。
「冠城亘」はファンの間ではわりと好評価なのですが、わたしは「キレモノ」というド直球のキャラだけゆえに単調になってしまう恐れがあると思っています。
一見気どっていてスカした感じなんだけど実は心根のやさしさと熱いハートを持っていた神戸尊 (かんべたける)のキャラを決定的なものにした「ミス・グリーンの秘密」や、痛いぐらいにピュアな陣川公平の魅力を最大限引き出した「運命の女性」(ともに太田愛脚本)のような決定的仕事をしてほしいなと真野さんには期待しています!
しかしながら、豪華なフルコースを楽しんだような至極の54分でした。
※写真のお店は「右京さんの友達」で毒島と右京さんが偶然出会ったお店(六本木のデンメアティーハウス)